第111回 看護師国家試験 午後 問109 解説

状況設定精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み109~111の問いに答えよ。 Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。 看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 服薬拒否には、まず飲みたくない理由を尋ねて背景を理解する。

Aさんは薬を自己判断でやめていたことを打ち明け、「飲みたくないが、どうしたらよいか」と自分から相談してきた。薬を続けられていない状態、つまりアドヒアランスが保てていない場面である。 ここでまず行うのは、本人が飲みたくない理由・背景(副作用の不安、効果への疑問、飲みにくさなど)を尋ねることである。 理由が分かってはじめて、本人に合った工夫や医師との調整ができる。

自分から相談してきたこと自体が支援関係を築く好機であり、その気持ちを受け止めて傾聴する姿勢が重要である。

約束を求める・反省を促すという対応は、理由を確かめないまま行動だけを変えさせるもので、せっかく打ち明けた気持ちを閉じさせてしまう。 薬の管理を妻に任せても、飲みたくない気持ちそのものは残ったままになる。

アドヒアランスとは

患者が治療の必要性に納得したうえで、自分から薬や治療を続けている状態のこと。「飲まされている」ではなく「自分で続ける」がポイント。

  • 1

    薬を飲みたくない理由を尋ねる。正解

    服薬拒否にはまず理由を尋ね背景を理解する。本人に合った支援・調整の出発点となる。

  • 2

    薬を飲むことを約束してもらう。不正解

    約束を求めるのは指示的で、本人の気持ちに向き合わず信頼関係を損なう。

  • 3

    自己判断で薬をやめたことへの反省を促す。不正解

    反省を促すのは本人を責める対応で、相談してきた気持ちを否定してしまう。

  • 4

    薬の管理はAさんの妻にしてもらうよう勧める。不正解

    管理を妻に委ねるのは本人の自己管理を軽視し、拒否の理由に向き合っていない。

📚 混同しやすいので注意

アドヒアランスとコンプライアンスは、言葉を入れ替えて問われる。決めるのが患者本人か医療者かで見分けよう。 アドヒアランスは、患者が納得したうえで治療方針の決定に参加し、自ら治療を続けること。 コンプライアンスは、2つの側面がある。 医療従事者側のコンプライアンス: 治療に関するどんな決定においても、患者にとって最善の利益を考え、臨床上の決定を行わなければならない 患者側のコンプライアンス: 治療のために医師、病院側から言われたことをきちんと守れる

  • 服薬中断のおもな理由=副作用(眠気・体重増加・性機能障害・錐体外路症状)、よくなったのでもう不要だと感じる、飲み忘れ、病識の乏しさ、経済的負担。
  • 抗うつ薬は効果が現れるまで1〜2週間かかり、自己判断で中止すると離脱症状(めまい、しびれ感、不安の強まりなど)が出ることがある。
  • 具体的な支援策=一包化・服薬カレンダーの活用、剤形や服用回数の調整を医師と相談すること、心理教育。

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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