第111回 看護師国家試験 午前 問14 解説
📝 問題
左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 左前胸部から頸部・左上肢へ放散痛を生じるのは狭心症である。
狭心症は冠動脈が狭くなって心筋が一時的に酸素不足になり、前胸部が締めつけられるように痛む疾患である。
この痛みは心臓から離れた左肩・左上肢・頸部・下顎にも広がって感じられることがあり、放散痛(関連痛)という。 心臓からの痛みの信号が、脊髄の同じ高さに入る体表の神経と混線するために起こる。
放散痛をともなう胸痛は、心臓の病気を疑うしるしである。狭心症でも心筋梗塞でもみられる。
放散痛とは
痛みのもとになっている臓器から離れた場所に、痛みを感じる現象。心臓の痛みが左肩や下顎に出るのが代表例。
疝痛とは
尿管や胆管などの細い管がふさがったときに起こる、強い痛みが波のように出たり弱まったりする痛み方。
- 1
胃潰瘍不正解
胃潰瘍は心窩部痛が主で、頸部・左上肢への放散痛は典型的でない。
- 2
狭心症正解
狭心症は心筋虚血により前胸部痛と左上肢・頸部・下顎への放散痛を生じる。
- 3
胆石症不正解
胆石症は右季肋部痛が主で、右肩へ放散することはあるが左上肢ではない。
- 4
尿管結石症不正解
尿管結石症は側腹部から下腹部・鼠径部への疝痛が特徴で、部位が異なる。
📚 混同しやすいので注意
狭心症と心筋梗塞は、痛みの長さ・ニトログリセリンが効くか・心電図の3点を入れ替えて問われる。どちらの特徴かを対にして覚えよう。
- 労作性狭心症は労作時に出現し安静で軽快、異型(冠攣縮性)狭心症は夜間〜早朝の安静時に多い。
- 不安定狭心症は発作の頻度・強さが増すもので、急性心筋梗塞へ移行しうる緊急性の高い病態。
- 心筋梗塞ではCK-MB・心筋トロポニンが上昇し、ニトログリセリンで胸痛は改善しない。
| 項目 | 狭心症 | 心筋梗塞 |
|---|---|---|
| 痛みの持続 | 数分(15分以内) | 30分以上続くことが多い |
| ニトログリセリン | 有効 | 無効 |
| 心電図 | ST低下(発作時) | ST上昇・異常Q波 |
| 心筋逸脱酵素 | 上昇しない | CK-MB・トロポニン上昇 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について