第110回 看護師国家試験 午後 問62 解説

📝 問題

アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害および歩行障害を特徴とするのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ アルコール多飲者で意識障害・眼球運動障害・歩行障害を三徴とするのはウェルニッケ脳症である。

ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)欠乏によって生じる急性の脳症で、慢性のアルコール多飲者に典型的にみられる。意識障害、眼球運動障害(眼振・外眼筋麻痺)、運動失調(歩行障害)を三徴とする。 放置するとコルサコフ症候群(健忘・作話)に移行することがある。

治療の原則はビタミンB1の速やかな補充である。 特にアルコール依存患者にブドウ糖を投与する際は、B1を先行または同時に投与しないと症状を誘発・増悪させるため注意する。

コルサコフ症候群とは

新しいことを覚えられなくなり、思い出せない部分を作り話で埋めてしまう状態。ウェルニッケ脳症が治りきらずに残った形として現れる。

羽ばたき振戦とは

手首を反らせた姿勢を保たせると、鳥が羽ばたくように手がひらひらと動く不随意運動。肝性脳症でみられる。

  • 1

    肝性脳症不正解

    肝性脳症は肝不全に伴う高アンモニア血症が原因で、羽ばたき振戦や意識障害を呈するが眼球運動・歩行障害の三徴とは異なる。

  • 2

    ペラグラ不正解

    ペラグラはナイアシン(ビタミンB3)欠乏で、皮膚炎・下痢・認知症を三徴とする。

  • 3

    Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症正解

    ウェルニッケ脳症はビタミンB1欠乏により意識障害・眼球運動障害・歩行障害(運動失調)の三徴を呈する。

  • 4

    Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病不正解

    クロイツフェルト・ヤコブ病はプリオン病で、急速進行性認知症とミオクローヌスが特徴でアルコールとは関連しない。

📚 ここも一緒におさえておこう

ビタミン欠乏症はビタミンと疾患が1対1で対応する。ウェルニッケ脳症のB1に限らず、表の組合せがそのまま選択肢になる。

主なビタミン欠乏症
ビタミン欠乏症
B1(チアミン)脚気、ウェルニッケ脳症・コルサコフ症候群
B3(ナイアシン)ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知症)
B12・葉酸巨赤芽球性貧血(B12欠乏では神経症状も伴う)
C壊血病(歯肉出血・創傷治癒遅延)
Dくる病(小児)・骨軟化症(成人)
K出血傾向、新生児メレナ
A夜盲症、角膜乾燥

アルコール多飲者はビタミンB1が欠乏しやすく、ブドウ糖を投与する際はB1を先行または同時に投与する。

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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