第110回 看護師国家試験 午後 問117 解説
📝 問題
Aさん(37歳、男性)は筋強直性ジストロフィーで、夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法を行っている。退院後1週、訪問看護師はAさんの鼻根部の皮膚に発赤があることに気付いた。 訪問看護師の妻への対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 鼻根部の発赤(圧迫による皮膚障害)には、ベルトを指が2本入る程度に固定して圧を緩和する。
フェイスマスクを使う非侵襲的陽圧換気(NPPV〈エヌピーピーブイ〉)では、マスクとベルトの圧迫で鼻根部に医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)が起こりやすい。 鼻根部の発赤はその始まりのサインで、ベルトを指が2本入る程度のゆとりで固定し、圧を逃がすのが適切な対応である。
鼻マスクへの変更はマスクの処方を変えることで、訪問看護師が単独で決められる範囲を超えている。 発赤があるところこそ清潔に保つ必要があり、洗わないのは逆である。 装着時間を短くすると夜間の換気そのものが足りなくなり、治療の目的を損なう。
締めすぎれば皮膚が傷み、ゆるすぎれば空気が漏れて治療にならない。 毎日マスクを外して当たり方を見るのが要点である。
MDRPU〈エムディーアールピーユー〉とは
医療機器が皮膚を圧迫してできる傷。マスクやカテーテル、弾性ストッキングなど、治療に使う道具そのものが原因になる点が褥瘡と違う。
鼻根部とは
鼻の付け根、両目のあいだのくぼんだところ。骨が皮膚のすぐ下にあり、マスクが当たると傷ができやすい。
- 1
「鼻マスクに変更しましょう」不正解
マスクの種類変更は医師の指示に関わる判断で、訪問看護師が単独で決めるのは適切でない。
- 2
「発赤部位は洗わないようにしましょう」不正解
発赤部位も清潔保持が重要で、洗わないようにするのは誤り。
- 3
「人工呼吸器の装着時間は短くしましょう」不正解
装着時間の短縮は必要な換気療法を減らし、治療効果を損なうため不適切。
- 4
「フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定しましょう」正解
ベルトを指2本入る程度に固定して圧迫を緩和し、鼻根部の皮膚障害を予防・軽減する。
📚 数字で押さえる
非侵襲的陽圧換気は、マスクによる皮膚トラブルとリークへの対応で問われる。好発部位は鼻根部、ベルトのゆとりは指が2本。この2つは数字ごと頭に入れておくと迷わない。
- 好発部位は鼻根部。発赤・水疱がないか毎日観察する
- ベルトは指が2本入る程度のゆとりで固定し、締めすぎない
- 皮膚保護材(ドレッシング材)で圧を分散し、マスクのサイズや種類の見直しも検討する
- その他の合併症=口腔・鼻腔の乾燥、呑気による腹部膨満、リークによる結膜炎、閉塞感・不安
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について