第110回 看護師国家試験 午後 問107 解説
📝 問題
Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来し入院した。Aさんは16時15分、3,300gの男児を経腟分娩で出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点。胎盤娩出直後から凝血の混じった暗赤色の性器出血が持続している。この時点での出血量は600mL。臍高で柔らかい子宮底を触れた。脈拍90/分、血圧116/76mmHg。意識は清明。Aさんは「赤ちゃんの元気な泣き声を聞いて安心しました」と言っている。 このときの看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 弛緩出血(子宮底が柔らかく出血600mL)にはまず子宮底の輪状マッサージで子宮収縮を促す。
胎盤娩出直後から暗赤色の性器出血が続き、出血量600mL、臍高で柔らかい子宮底を触れる。これは子宮収縮不良による弛緩出血である。分娩後の子宮底は臍下〜臍高で硬く縮むのがふつうで、「柔らかい」は収縮が足りないしるしになる。 子宮が縮まないと胎盤のはがれた面の血管が閉じないため、まず子宮底の輪状マッサージで収縮を促し、子宮収縮薬の投与や医師への報告につなげる。
膀胱充満は子宮収縮を妨げるため導尿は有用な補助手段だが、まず優先されるのは直接収縮を促すマッサージである。 水分摂取と全身清拭は、出血が続いている場面での緊急対応にはならない。
弛緩出血とは
胎盤が出たあとに子宮が十分に縮まず、はがれた面から出血が続く状態。分娩後の大量出血で最も多い原因。
輪状マッサージとは
子宮底に手を当て、円を描くようにさすって子宮の収縮を促す手技。弛緩出血ではまずこれを行う。
- 1
子宮底の輪状マッサージを行う。正解
子宮収縮不良(弛緩出血)に対し、まず子宮底の輪状マッサージで収縮を促し止血を図る。
- 2
膀胱留置カテーテルを挿入する。不正解
膀胱充満の解除は補助的に有用だが、まず優先されるのは直接収縮を促す輪状マッサージ。
- 3
水分摂取を促す。不正解
水分摂取は活動性出血への緊急対応にはならず、この場面で優先されない。
- 4
全身清拭を行う。不正解
全身清拭は出血への対応ではなく、優先度は低い。
📚 まず何をするか
分娩後の異常出血では、出血量の基準と対応の順番が問われる。原因は子宮収縮不全(弛緩出血)・産道裂傷・胎盤遺残・凝固障害の4つで、対応は子宮収縮を促すことから始まる、という順序をつかんでおきたい。
- 分娩時異常出血=経腟分娩で500mL以上、帝王切開で1,000mL以上
- 弛緩出血では子宮底が柔らかく高い(臍高〜臍上)ことが手がかりになる
- 対応=子宮底の輪状マッサージ→子宮収縮薬、膀胱充満の解除(導尿)、輸液・輸血、医師への報告
- ショックインデックス(心拍数÷収縮期血圧)は1で約1L、1.5で約1.5〜2Lの出血が目安となる
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について