第110回 看護師国家試験 午前 問83 解説
📝 問題
小児期における消化器の特徴で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 新生児期は胃内容物が食道に逆流しやすい
新生児・乳児は、胃の形が縦型(噴門部の括約機構が未熟)で、下部食道括約筋の機能も未熟なため、胃内容物が食道に逆流しやすく、溢乳(いつにゅう)や吐き戻しがみられやすい。
他の選択肢は誤りである。乳児期の膵リパーゼの活性は成人より低く、脂肪の消化能力は未熟である(舌リパーゼなどで補われる)。ラクターゼ(乳糖分解酵素)の活性は乳児期に高く、離乳以降はむしろ低下する傾向があり、1歳以降に急速に高まるわけではない。膵アミラーゼの活性は乳児期には低く、加齢とともに発達する。出生直後の新生児の腸内はほぼ無菌に近く、腸内細菌叢は出生後に形成されるため、母親の腸内細菌叢と同一ではない。
国試では小児の消化器・栄養の特徴(逆流しやすい・消化酵素が未熟)が問われる。「新生児は胃が縦型で逆流しやすい」「消化酵素の活性は成人より低く発達途上」と押さえておくとよい。
溢乳とは
飲んだ乳が口の端から少し流れ出ること。機嫌がよく体重が順調に増えていれば心配ない。
腸内細菌叢とは
腸のなかにすみついている細菌の集まり。消化を助け、病原菌が増えるのを抑えるはたらきがある。
- 1
新生児期は胃内容物が食道に逆流しやすい。正解
新生児は胃が縦型で括約機構が未熟なため、胃内容物が食道に逆流しやすい。
- 2
乳児期のリパーゼの活性は成人と同程度である。不正解
乳児期のリパーゼ活性は成人より低く、脂肪の消化能力は未熟である。
- 3
ラクターゼの活性は1歳以降急速に高まる。不正解
ラクターゼ活性は乳児期に高く、離乳以降はむしろ低下傾向で、1歳以降に急速に高まるわけではない。
- 4
アミラーゼの活性は12〜13歳で成人と同程度になる。不正解
アミラーゼ活性は乳児期に低く発達途上で、12〜13歳で成人と同程度という記述は正しくない。
- 5
出生直後の腸内細菌叢は母親の腸内細菌叢の構成と同一である。不正解
出生直後の腸内はほぼ無菌に近く、腸内細菌叢は出生後に形成され母親と同一ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
小児の消化器は、大人と違う点がそのまま問われる。胃の形・消化酵素・腸内細菌叢などを、大人と比べて覚えよう。 新生児は体重の約80%、乳児は約70%、成人は約60%が水分で、小児は細胞外液の割合が高いため脱水になりやすい。
- 新生児・乳児の胃は縦型(とっくり型)で噴門の括約機構が未熟なため溢乳しやすい。授乳後は排気(げっぷ)を行う
- 消化酵素の活性は発達途上で、乳児期はアミラーゼ・リパーゼが低い。ラクターゼは乳児期に高い
- 腸内細菌叢は出生後に形成される。母乳栄養児ではビフィズス菌が優位となる
- 離乳の開始は生後5〜6か月ごろ、完了は12〜18か月ごろが目安
- 乳児の便は回数が多く軟らかい。嘔吐・下痢では急速に脱水となるため、体重・尿量・大泉門・皮膚の張りを観察する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について