第110回 看護師国家試験 午前 問76 解説
📝 問題
後天性の大動脈弁狭窄症について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 後天性の大動脈弁狭窄症は弁尖の石灰化による
後天性の大動脈弁狭窄症の主な原因は、加齢に伴う弁尖(弁膜)の変性・石灰化である。石灰化により弁が硬く開きにくくなり、左室から大動脈への駆出が妨げられる。
他の選択肢は誤りである。二尖弁(先天性大動脈二尖弁)は狭窄の一因ではあるが「後天性」の主因ではなく、設問は後天性を問うている。狭窄で左室は圧負荷を受けるため左室壁は薄くなるのではなく求心性に肥厚する。大動脈弁狭窄症の心雑音は収縮期駆出性雑音であり、拡張期ではない(拡張期雑音は大動脈弁閉鎖不全などでみられる)。左室肥大と圧負荷により心筋の酸素需要はむしろ増加する。
国試では弁膜症(狭窄/閉鎖不全、収縮期/拡張期雑音)の対比が頻出である。「大動脈弁狭窄症=石灰化・左室求心性肥大・収縮期雑音・失神/狭心痛/心不全」と要点を押さえておくとよい。
弁尖とは
心臓の弁をつくっている薄い膜のひとひら。開いて血液を通し、閉じて逆流を防ぐ。
二尖弁とは
生まれつき大動脈弁が2枚しかないもの。3枚の人より早い年齢で狭窄を起こしやすい。
- 1
二尖弁が多い。不正解
二尖弁は狭窄の一因だが後天性の主因ではなく、設問は後天性を問うている。
- 2
弁尖の石灰化による。正解
後天性大動脈弁狭窄症は加齢に伴う弁尖の変性・石灰化を主因とする。
- 3
左室壁は徐々に薄くなる。不正解
圧負荷により左室壁は薄くなるのではなく求心性に肥厚する。
- 4
拡張期に心雑音を聴取する。不正解
大動脈弁狭窄症の雑音は収縮期駆出性雑音であり、拡張期雑音ではない。
- 5
心筋の酸素需要は減少する。不正解
左室肥大と圧負荷により心筋の酸素需要はむしろ増加する。
📚 国試でよく狙われるところ
弁膜症は「この雑音はどの疾患のものか」という形で問われる。疾患ごとに、雑音が収縮期と拡張期のどちらで聞こえるかまで覚えよう。 大動脈弁狭窄症の三徴(狭心痛・失神・心不全)が出現すると予後不良となるため、弁置換術や経カテーテル大動脈弁留置術〈TAVI〉が検討される。
| 疾患 | 心雑音 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大動脈弁狭窄症 | 収縮期駆出性雑音(第2肋間胸骨右縁、頸部へ放散) | 左室の求心性肥大。狭心痛・失神・心不全の三徴 |
| 大動脈弁閉鎖不全症 | 拡張期灌流性雑音 | 脈圧の増大、速脈・大脈(水撃脈) |
| 僧帽弁狭窄症 | 拡張期ランブル(心尖部) | 左房負荷→心房細動・左房内血栓・肺うっ血 |
| 僧帽弁閉鎖不全症 | 全収縮期雑音(心尖部、左腋窩へ放散) | 左房・左室の容量負荷 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について