第110回 看護師国家試験 午前 問115 解説
📝 問題
A さん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。A さんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがA さんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。 このときの訪問看護師が提案するA さんへのサービスで最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 妻の腰痛・介護負担を軽減しつつ在宅を継続するため、訪問介護が最も適切。
Aさんは在宅を希望して家から出たくない意向が強く、妻も夫を預けることに不安を抱いている。 妻の腰痛悪化による介護負担を軽減しながら在宅生活を続けるには、訪問介護員が自宅で身体介護(移乗・排泄など)を行う訪問介護が最も適切である。移乗が部分介助でポータブルトイレを使うAさんでは、家庭内の介助を代わりに担うことが妻の負担を直接軽くする。
他の選択肢は、外出や施設の利用を望まないAさんと妻の意向に沿わないか、当面の介護負担の軽減に直接は応えない。 本人・家族の意向とニーズの両方に合うサービスを選ぶことが重要である。
身体介護とは
訪問介護員が利用者の体に直接触れて行う介助。本人へのケアが対象で、家族のための家事は含まれない。
- 1
通所介護不正解
外出を望まないAさんの意向に反し、通所介護は適さない。
- 2
訪問介護正解
自宅での身体介護を担い、在宅継続と妻の負担軽減の両立に最適。
- 3
短期入所生活介護不正解
施設に預けることに不安があり在宅希望のため、短期入所は意向に反する。
- 4
訪問リハビリテーション不正解
機能訓練には有用だが、当面の介護負担軽減に直接は応えない。
📚 国試でよく狙われるところ
介護保険のサービスは、事例の意向と介護者の負担のどちらに応えるかで選ばせる形で問われる。 訪問系は在宅で完結するため外出を望まない人に適し、通所・短期入所は介護者のレスパイトに適する、と対にして覚えよう。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | 訪問介護員が自宅で身体介護(入浴・排泄・移乗・食事)と生活援助(調理・掃除・買い物)を行う |
| 訪問看護 | 看護師等が自宅で療養上の世話や診療の補助を行う |
| 訪問入浴介護 | 移動入浴車などで自宅に浴槽を持ち込み入浴を介助する |
| 訪問リハビリテーション | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅で機能訓練を行う |
| 通所介護(デイサービス) | 日帰りで入浴・食事・機能訓練・レクリエーションを行う |
| 通所リハビリテーション(デイケア) | 医療機関や介護老人保健施設で日帰りのリハビリテーションを行う |
| 短期入所生活介護(ショートステイ) | 短期間施設に入所して介護を受ける。介護者のレスパイトに有効 |
| 福祉用具貸与・住宅改修 | 特殊寝台・車椅子等の貸与、手すり設置や段差解消などの住宅改修費の支給 |
参考: 介護保険法
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について