第109回 看護師国家試験 午後 問113 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 A さん(43歳、男性、会社員)はアルコール依存症と診断され入院した。入院後3日。面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えている A さんへの対応に困っており、A さんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。 A さんの妻に対する助言で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 共依存を避けるため、飲酒によるトラブルを妻が代わりに解決しないよう助言する。
アルコール依存症では、家族が本人の飲酒によるトラブルの後始末を代わりに引き受けてしまうことがある。 これをイネイブリングといい、共依存の関係に陥りやすい。 後始末をしてもらえると本人は自分の問題に直面せずにすみ、かえって飲酒が続く。 妻には「飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」と助言し、本人が結果に向き合えるようにするのが適切である。
他の3つは、失敗を責める・気持ちを封じる・問題を見過ごすという関わりで、いずれも治療的でない。
共依存とは
相手の世話をすることで自分の役割を保ち、たがいに離れられなくなった関係。依存症の家族に起こりやすい。
- 1
「飲酒による仕事上の失敗について A さんと議論しましょう」不正解
失敗を議論することは責める関わりになりやすく、対立を深め治療的でない。
- 2
「飲酒したいという A さんの気持ちは聞かないようにしましょう」不正解
飲酒したい気持ちを聞かないのは本人の感情を封じ、支援関係を損なう。
- 3
「A さんが飲酒したことがわかっても注意はしないようにしましょう」不正解
飲酒しても注意しないという放任は問題行動を容認することになり不適切。
- 4
「A さんの飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」正解
トラブルを代わりに解決しない(イネイブリング回避)ことで本人が問題に直面でき、適切。
📚 国試でよく狙われるところ
依存症は、本人への対応だけでなく家族への助言が問われる。 善意の後始末が回復を遅らせる、という向きで覚えよう。
- イネイブリングの例=借金や欠勤の後始末をする・酒を買ってくる・職場に代わりに謝る
- 対応の原則=飲酒の結果は本人に引き受けてもらう。しらふのときの関わりを大切にする
- 家族自身も相談機関や家族会(断酒会の家族部会、アラノン)につながることが支援になる
- アルコール依存症は否認の病といわれ、本人が問題を認めにくい。責める関わりは否認を強める
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について