第109回 看護師国家試験 午前 問81 解説
📝 問題
交感神経の作用はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 交感神経の作用は散瞳と精神性発汗である。
交感神経は「闘争・逃走」に対応する神経で、身体を活動的・緊張状態にする。瞳孔散大筋を収縮させて散瞳を起こし、緊張したときに手のひら・腋窩・足底に出る精神性発汗を促す。
腸蠕動の促進・排尿筋(膀胱平滑筋)の収縮・グリコーゲン合成の促進は、いずれも副交感神経(安静・消化・貯蔵に働く)の作用である。交感神経はむしろ消化管運動を抑制し、排尿を抑えて蓄尿の方向に働き、肝臓ではグリコーゲン分解を促して血糖を上げる。 国試では両者の作用の対比が頻出である。
- 1
散瞳正解
交感神経は瞳孔散大筋を収縮させて散瞳を起こす。
- 2
精神性発汗正解
緊張したときに出る精神性発汗は交感神経の作用である。
- 3
腸蠕動の促進不正解
腸蠕動の促進は副交感神経の作用で、交感神経はむしろ抑制する。
- 4
排尿筋の収縮不正解
排尿筋の収縮(排尿)は副交感神経の作用で、交感神経は蓄尿方向に働く。
- 5
グリコーゲン合成の促進不正解
グリコーゲン合成の促進は副交感神経優位の状態で、交感神経は分解を促す。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
自律神経の作用は暗記ではなく場面で考える。 「猛獣に出会った状態(交感神経)」なら瞳孔は開き、心拍は上がり、気管支は広がり、消化は後回し。 「食後にくつろぐ状態(副交感神経)」ならその逆になる。
- 交感神経の節前線維は胸髄・腰髄(T1〜L2)から、副交感神経は脳幹(脳神経Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)と仙髄(S2〜S4)から出る。
- 汗腺は交感神経だけの支配だが、節後線維の伝達物質は例外的にアセチルコリンである。
- 温熱性発汗は全身に、精神性発汗は手掌・足底・腋窩に生じる。
- 副腎髄質は交感神経の節前線維に直接支配され、アドレナリンを分泌する。
| 器官 | 交感神経 | 副交感神経 |
|---|---|---|
| 瞳孔 | 散大(散瞳) | 縮小(縮瞳) |
| 心臓 | 心拍数・収縮力の増加 | 心拍数の減少 |
| 気管支 | 拡張 | 収縮 |
| 消化管 | 蠕動・分泌の抑制 | 蠕動・分泌の促進 |
| 膀胱 | 排尿筋弛緩・内尿道括約筋収縮(蓄尿) | 排尿筋収縮・内尿道括約筋弛緩(排尿) |
| 肝臓 | グリコーゲン分解(血糖上昇) | グリコーゲン合成 |
| 汗腺 | 発汗の促進 | 支配はほとんどない |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について