第109回 看護師国家試験 午前 問114 解説
📝 問題
自閉症スペクトラム障害の A さん(26歳、男性)は休養目的で任意入院していた。入院後1か月、A さんは十分な休養が得られた。退院後の職場復帰にあたり、A さんから「仕事がうまくいかないと、すごく混乱して落ち着かなくなってしまう。そうなった時はどうしたら良いか」と看護師に相談があった。 A さんへの助言で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 混乱時の対処として「1人で落ち着ける場所に移動しましょう」と助言する。
自閉症スペクトラム障害(ASD〈エーエスディー〉)のある人が強い混乱やパニックに陥ったときは、刺激の少ない環境で気持ちを落ち着けることが有効である。 「1人で落ち着ける場所に移動しましょう」という助言は、本人がその場で実行できるクールダウンの方法であり、職場に戻ってからも使える。
他の3つは、混乱している最中には行いにくい。職場の人からどう見えるかを想像するには、他者の視点に立つ力が必要になる。 助言をくれる人が増えるほど、どれを選べばよいか決められなくなる。 混乱した原因をその場で説明するには、自分の状態をことばにする余裕が要る。
- 1
「混乱する A さんを職場の人がどう見ているか想像しましょう」不正解
他者の視点の推測が苦手なASDの特性に合わず、かえって混乱を強める。
- 2
「多くの人からアドバイスをもらいましょう」不正解
多くの助言は情報が増えて処理負担となり、混乱時の対処として現実的でない。
- 3
「混乱した原因を周囲の人に説明しましょう」不正解
混乱の最中に原因を言語化して説明するのは難しく、本人の負担が大きい。
- 4
「1人で落ち着ける場所に移動しましょう」正解
刺激の少ない場所でクールダウンする具体的対処で、本人が実行しやすく職場でも活用できる。
📚 ここも一緒におさえておこう
混乱・パニックのときは、刺激を減らす→落ち着ける場所へ移る→回復を待つが基本。 その最中に説明・説得・反省を求めない。振り返りは落ち着いてから行う。
- 落ち着いたあとに何がきっかけだったかを一緒に整理し、次の対処(落ち着ける場所の確保、休憩の取り方、相談できる相手)を具体的に決めておく。
- 本人が実行できる対処を1つか2つに絞るほうが、たくさんの助言より役に立つ。
- 職場復帰を支える資源に、リワークプログラム、障害者職業センターのジョブコーチ、就労移行支援・就労継続支援(障害者総合支援法)がある。
- 職場には本人の同意のもとで合理的配慮を具体的に伝えると働き続けやすい(例:予定を文書で示す、静かな休憩場所)。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について