第109回 看護師国家試験 午前 問105 解説
📝 問題
1型糖尿病の A君(8歳、男児)と母親は、自己血糖測定とインスリン自己注射に関する手技を身につけて退院し、外来通院となった。退院後2か月、A君と母親が定期受診で来院した際、看護師が A君に生活の様子を尋ねたところ「学校では血糖測定もインスリン注射もやっているよ。給食は楽しみで好き嫌いなく食べているよ」と話した。母親は「帰宅時に時々手の震えや空腹感を訴え、血糖を測定すると60 mg/dL台のことがあり、自分で補食を選んで食べています。なぜ日によって低血糖になることがあるのでしょうか」と話している。 看護師が A君の低血糖の原因をアセスメントする際に優先して収集すべき情報はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 低血糖の原因を探るには、学校での運動量の情報を優先して収集する。
1型糖尿病では、インスリン量・食事量・運動量のバランスで血糖が変動する。 運動は筋のブドウ糖利用を高めて血糖を下げるため、体を動かした量が多い日ほど低血糖が起こりやすい。
A君は帰宅時に手の震えや空腹感を訴え、血糖が60 mg/dL台になる日がある。 給食は好き嫌いなく食べており食事量はほぼ一定なので、日によって変わる要因として残るのは学校での運動量である。
他の3つは、日ごとの違いを説明できない。 自己注射への認識も注射をする場所も、低血糖が起こる日と起こらない日を分ける要因ではなく、給食の量はほぼ一定である。
- 1
インスリン自己注射に対する A君の認識不正解
自己注射への認識は継続に関わるが、日ごとの低血糖の直接原因を探る情報としては優先度が低い。
- 2
学校内でインスリン自己注射を行う場所不正解
注射を行う場所は衛生・心理面の課題で、低血糖の原因究明に直結しない。
- 3
学校での運動量正解
運動は血糖を下げ、日により変動する運動量が低血糖の最も疑わしい原因で優先して収集すべき。
- 4
給食の摂取量不正解
給食は好き嫌いなく食べており摂取量はほぼ一定で、日ごとの変動要因とは考えにくい。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
血糖が変動する原因を探すときは、変わらないものと日によって変わるものを仕分ける。 食事が一定でインスリンも一定なら、残る変数は活動量。 アセスメントの筋道として覚えておきたい。
- 血糖が70 mg/dL前後まで下がると交感神経症状(発汗・動悸・手の震え・不安・空腹感)が、50 mg/dL前後を下回ると中枢神経症状(頭痛・眠気・集中力低下・異常行動・意識障害・けいれん)が出やすい。
- 対処はブドウ糖10 g(またはブドウ糖を含む飲料150〜200 mL)を摂り、15分後に再測定する。改善しなければ繰り返す。
- 意識障害があり経口摂取できないときはグルカゴンやブドウ糖の静脈内注射を行う。
- 運動後数時間〜翌朝に遅発性の低血糖が起こることがあり、運動量が多い日は補食やインスリン量の調整を検討する。
| 要因 | 血糖への影響 |
|---|---|
| 運動量が多い | 筋でのブドウ糖利用が増えて下がる |
| 食事量が少ない・食事が遅れた | 下がる |
| インスリンの量が多い・打つ時間のずれ | 下がる |
| シックデイ(発熱・感染) | 上がることが多いが、食事量が減れば下がることもある |
| 入浴・注射部位のもみすぎ | 吸収が速まり下がりやすい |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について