第108回 看護師国家試験 午後 問85 解説
📝 問題
前立腺肥大症で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 前立腺肥大症は進行すると水腎症となり、外科治療は経尿道的前立腺切除術(TURP)を行う。
前立腺肥大症は加齢に伴う良性の腺腫様過形成で、尿道を圧迫して排尿障害をきたす。 尿閉や慢性的な尿路通過障害が続くと、腎盂・尿管に尿がたまって水腎症を起こすことがある。 標準的な外科治療は経尿道的前立腺切除術(TURP)である。
他の選択肢のうち、石のように硬い前立腺とPSAの著明な高値は、いずれも前立腺癌を疑う所見である。肥大症では前立腺は弾性硬で表面平滑に触れる。 薬物治療にはα1遮断薬や5α還元酵素阻害薬を用いる。男性ホルモン薬はむしろ肥大を進めるので使わない。
PSA〈ピーエスエー〉とは
前立腺が作るタンパク。血液中の値が高いと前立腺の病気(癌・肥大症・炎症)を疑う。
水腎症とは
尿の通り道がふさがれて、腎盂に尿がたまり腎臓が腫れる状態。長引くと腎機能が低下する。
- 1
進行すると水腎症となる。正解
尿路通過障害が進行すると尿のうっ滞により水腎症をきたすことがある。
- 2
外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。正解
前立腺肥大症の標準的な外科治療は経尿道的前立腺切除術(TURP)である。
- 3
直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。不正解
石のような硬さの前立腺を触知するのは前立腺癌の所見で、肥大症では弾性硬で表面平滑に触れる。
- 4
前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。不正解
男性ホルモン薬はむしろ前立腺肥大を助長するため用いず、5α還元酵素阻害薬などで縮小を図る。
- 5
前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100 ng/mL以上となる。不正解
PSAが100 ng/mL以上となる著明高値は前立腺癌を強く疑う所見で、肥大症の特徴ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
前立腺肥大症は、症状・治療・手術後の合併症がまとめて問われる。所見は前立腺癌と対にして覚えよう。
- 前立腺肥大症の症状は排尿困難・頻尿・残尿感で、進行すると尿閉や水腎症をきたす
- 男性ホルモンは肥大を助長するため用いず、前立腺癌では逆に内分泌(抗アンドロゲン)療法を行う
- TURP後は出血とTUR症候群(低ナトリウム血症)に注意する
| 項目 | 前立腺肥大症 | 前立腺癌 |
|---|---|---|
| 発生部位 | 内腺(移行領域) | 外腺(辺縁領域)が多い |
| 直腸診 | 弾性硬・表面平滑 | 石のように硬く表面不整 |
| PSA | 軽度上昇にとどまることが多い | 著明な高値となりうる |
| 主な治療 | α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬、TURP | 手術、放射線療法、内分泌療法 |
参考: 日本泌尿器科学会「前立腺肥大症診療ガイドライン」/医学書院「系統看護学講座 成人看護学(腎・泌尿器)」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について