第108回 看護師国家試験 午後 問81 解説
📝 問題
Alzheimer(アルツハイマー)型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 実行機能障害の例は、調理の手順がわからなくなることである。
実行機能(遂行機能)とは、目標を立て、計画し、順序立てて実行し、状況に応じて修正する一連の高次認知機能である。 Alzheimer(アルツハイマー)型認知症ではこの機能が障害され、これまで行えていた段取りが立てられなくなる。 設問の「調理の手順がわからなくなる」は、計画・順序立ての障害である実行機能障害の典型例である。
他の選択肢は、それぞれ別の認知機能の障害にあたる。前後反対に着る・歯ブラシで髪をとかすのは失行や物品の使用障害、物音で食事を中断するのは注意障害、鏡の自分に話しかけるのは失認や見当識障害に近い。 「手順・段取りの障害=実行機能障害」と対応づけて区別する。
失行とは
運動麻痺がないのに、覚えているはずの動作を正しく行えなくなる状態。服を着る、道具を使うといった場面でつまずく。
失認とは
見え方や触れた感覚は保たれているのに、それが何かを認識できなくなる状態。
- 1
シャツを前後反対に着る。不正解
シャツを前後反対に着るのは着衣失行に相当し、実行機能障害の典型例ではない。
- 2
調理の手順がわからなくなる。正解
調理の手順がわからなくなるのは、計画・順序立ての障害である実行機能障害の典型例である。
- 3
物音がすると食事を中断する。不正解
物音で食事を中断するのは注意の障害(注意障害)に相当し、実行機能障害とは区別される。
- 4
鏡に映った自分の姿に話しかける。不正解
鏡の自分に話しかけるのは失認や見当識障害に近い症状で、実行機能障害の典型例ではない。
- 5
歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。不正解
歯ブラシで髪をとかそうとするのは物品の使用に関する障害(失行)で、実行機能障害の典型例ではない。
📚 混同しやすいので注意
認知症の症状は、中核症状と行動・心理症状〈BPSD〉のどちらに入るかを入れ替えて問われる。脳の障害から直接生じるのが中核症状、と覚えよう。
- 実行機能障害=段取りを立てて順序どおりに実行する能力の障害で、調理・買い物・服薬管理が難しくなる
- BPSDではまず身体的不調・環境・関わり方など誘因を探すことが対応の基本
| 区分 | 症状の例 |
|---|---|
| 中核症状 | 記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失行、失認、判断力の低下 |
| BPSD(行動症状) | 徘徊、暴力・暴言、拒絶、不潔行為、介護への抵抗 |
| BPSD(心理症状) | 不安、抑うつ、幻覚、妄想(物盗られ妄想)、睡眠障害 |
BPSDは環境や関わり方の影響を受けやすく、ケアで軽減しうる。
参考: 医学書院「系統看護学講座 老年看護学」/認知症疾患診療ガイドライン
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について