第108回 看護師国家試験 午後 問61 解説
📝 問題
知的障害〈精神遅滞〉の原因となる疾患はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 知的障害(精神遅滞)の原因となるのはフェニルケトン尿症である。
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンをチロシンに変換する酵素の先天的欠損による常染色体潜性(劣性)遺伝の代謝異常症である。 蓄積したフェニルアラニンとその代謝産物が中枢神経を障害し、未治療では重度の知的障害をきたす。 日本では新生児マススクリーニングの対象疾患で、早期発見と低フェニルアラニン食による食事療法で発症を予防できる。
国試では「先天性代謝異常=発達期に生じる知的障害の原因」という枠組みを押さえる。 統合失調症・Alzheimer(アルツハイマー)病・Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病は、いずれも一度獲得した知能が障害される後天性・進行性の疾患であり、発達期に生じる知的障害とは区別される。
常染色体潜性(劣性)遺伝とは
両親の両方から同じ変化した遺伝子を受け継いだときだけ発症する遺伝形式。片方だけ受け継いだ人は発症せず保因者となる。
- 1
統合失調症不正解
統合失調症は思春期以降に発症する精神疾患で、発達期に生じる知的障害の原因ではない。
- 2
フェニルケトン尿症正解
フェニルケトン尿症は先天性代謝異常症で、未治療では中枢神経障害により知的障害をきたす。マススクリーニング対象疾患。
- 3
Alzheimer(アルツハイマー)病不正解
Alzheimer病は主に高齢期に発症し、獲得した知能が失われる認知症であり、知的障害(精神遅滞)ではない。
- 4
Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病不正解
Creutzfeldt-Jakob病はプリオンによる進行性の認知症で、後天的な知能低下をきたす疾患である。
📚 ここも一緒におさえておこう
新生児マススクリーニングは、対象疾患と治療法を組み合わせて問われる。 タンデムマス法の導入で対象疾患が拡大し、早期発見・早期治療で発症や重症化を防げる疾患が選ばれている。
- フェニルケトン尿症の治療は低フェニルアラニン食(フェニルアラニン除去ミルク)
- 先天性甲状腺機能低下症の治療は甲状腺ホルモン薬の補充
| 分類 | 代表疾患 |
|---|---|
| アミノ酸代謝異常 | フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症 |
| 糖質代謝異常 | ガラクトース血症 |
| 内分泌疾患 | 先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症 |
| 有機酸・脂肪酸代謝異常 | メチルマロン酸血症、MCAD欠損症など |
生後4〜6日ごろに足底から採血して行う(血液ろ紙法)。
参考: 医学書院「系統看護学講座 小児看護学」/日本先天代謝異常学会 診療ガイドライン
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について