第108回 看護師国家試験 午後 問117 解説

状況設定在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(70歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉のため、気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受け、在宅で療養している。 退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 人工呼吸器を使う在宅療養での災害対策として、停電に備えた予備電源の選び方の指導が最も優先度が高い。

在宅人工呼吸療法を受けるAさんにとって、災害時に最も生命を脅かすのは停電による呼吸器の停止である。 災害に備える第一歩として、内蔵バッテリーの作動時間の把握や外部バッテリー・自家発電機の用意など、停電時にも人工呼吸器を動かし続けるための予備電源の確保・選び方を指導することが最も優先度が高い。 電源の確保は生命維持に直結するため、他の備えに先立って整える。

医療機器に頼る在宅療養者の災害対策では「電源の確保」が最優先とされ、国試でも問われる。

他の3つ(福祉避難所への移動手段、災害用持ち出し物品、足踏み式吸引器)は、いずれも必要だが、まず呼吸器を止めないことが先に来る。 「何から始めるか」と問われたら、生命維持機器を止めないための電源確保を選ぶ。

福祉避難所とは

高齢者や障害のある人など、一般の避難所では過ごすのが難しい人を受け入れるために市町村が指定する避難所。

  • 1

    予備の電源の選び方正解

    停電で人工呼吸器が停止すると生命に直結するため、予備電源の選び方の指導が災害対策として最も優先度が高い。

  • 2

    福祉避難所への移動手段不正解

    福祉避難所への移動手段の確保も必要だが、まず機器を動かし続ける電源対策のほうが生命への直結性が高い。

  • 3

    災害用持ち出し物品の準備不正解

    災害用持ち出し物品の準備は重要だが、人工呼吸器の停止を防ぐ電源確保より優先度は下がる。

  • 4

    足踏み式吸引器の使用方法不正解

    足踏み式吸引器の使用方法も停電対策の一部だが、まず呼吸器本体を動かす予備電源の確保が最優先である。

📚 国試でよく狙われるところ

医療機器に依存する在宅療養者の災害対策は、生命維持に直結する順に備える。

  • 最優先は電源の確保(内蔵バッテリーの作動時間の把握、外部バッテリー、自家発電機、車のシガーソケット用電源)
  • 次に用手換気用のバッグバルブマスクと足踏み式・手動式吸引器を備える
  • 電力会社・保健所・消防へ人工呼吸器使用者として登録しておくと支援を受けやすい
  • 停電・断水を想定し吸引用の水・栄養剤・薬剤を数日分備蓄する
  • 福祉避難所や搬送先医療機関、移動手段をあらかじめ確認しておく

参考: 厚生労働省「災害時における在宅療養者への支援に関する指針」

出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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