第108回 看護師国家試験 午後 問111 解説
📝 問題
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、統合失調症と診断され入院した。 入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 服薬の必要性に疑問を抱くAさんには、再発予防のための服薬心理教育を優先することが適切である。
退院準備期のAさんは「よくなったのにずっと薬を飲むのか」と服薬継続に疑問を抱いている。 統合失調症は服薬中断が再発の最大要因であり、症状が落ち着いても継続治療が必要である。 この時期に最も優先すべきは、病気と薬の役割・再発予防の意義を本人が理解し納得して服薬を続けられるよう支援する服薬心理教育(服薬アドヒアランス支援)である。 退院後の社会復帰の成否にも直結する。
精神科リハビリテーションでは、心理教育により病識と服薬アドヒアランスを高めることが再発予防の要とされ国試頻出である。
他の選択肢は、いま優先する課題ではない。 食事についての困りごとは述べられていない。 筋力トレーニングは体力の回復に役立つが、退院準備の第一にはならない。 アサーティブトレーニングは自分の考えを相手を尊重して伝える練習で、対人関係が課題になった段階で行う。
- 1
服薬心理教育正解
服薬継続に疑問をもつ本例では、再発予防のための服薬心理教育でアドヒアランスを高めることが最優先で適切である。
- 2
食事への援助不正解
食事に問題があるという情報はなく、退院準備で優先すべき課題ではない。
- 3
筋力トレーニングの指導不正解
筋力トレーニングは退院準備の優先事項ではなく、服薬継続の課題に比べ重要度は低い。
- 4
アサーティブトレーニングの指導不正解
アサーティブトレーニングは有用な技法だが、服薬中断による再発リスクが最も高い現状では優先度は下がる。
📚 ここも一緒におさえておこう
統合失調症の再発予防は服薬の継続が柱で、そこに家族支援と生活の調整が加わる。
- 心理教育は病気と薬の知識を本人・家族が共有し、対処法を身につける支援
- 服薬中断の背景には副作用・病識の乏しさ・飲み忘れがあり、それぞれ対応が異なる
- 飲み忘れが多い場合は持効性注射薬(デポ剤)や一包化、服薬カレンダーが有効
- 家族の強い感情表出〈EE〉は再発と関連するため、家族心理教育も再発予防になる
- 再発の前触れ(不眠・焦燥・被害的な考えなど)を本人と共有しておく
参考: 日本精神神経学会「統合失調症薬物治療ガイド」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について