第108回 看護師国家試験 午後 問109 解説
📝 問題
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。 この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 日中臥床がちで被害妄想が残る回復期には、看護師が一緒に院内を散歩し安全に活動を促すことが最も適切である。
Aさんは急性期を過ぎ、看護師とは会話ができるようになった。一方で日中は臥床がちで、食事に遅れることが多く、他の入院患者への被害妄想は残っている。 この段階では、すでに信頼関係のできた看護師が一緒に院内を散歩することで、安全な範囲で活動を増やし、生活リズムを整えられる。 他の患者との交流をいきなり求めず、看護師との一対一の関わりから広げていくのが適切である。
他の3つは、この時期の関わりとして合わない。 食事は時間に遅れるだけで自分で食べられているので、介助を入れる段階ではない。 他の患者への被害妄想が残るうちに交流を促せば、症状を強めるおそれがある。 臥床しているときに声をかけずにおくと、生活リズムを整える機会も、関係を深める機会も失われる。
- 1
食事介助をする。不正解
食事の時間に遅れる程度で摂取は可能であり、食事介助はセルフケア能力を奪う過剰な援助である。
- 2
一緒に院内を散歩する。正解
看護師と一緒に院内を散歩することで安全に活動性を高め、生活リズムと対人関係の回復を無理なく促せる。
- 3
他の入院患者との交流を促す。不正解
他患者への被害妄想が残る現段階で交流を促すのは時期尚早で、症状を刺激するおそれがある。
- 4
日中に臥床しているときは声かけを控える。不正解
臥床時に声かけを控えると生活リズムの改善や関係構築の機会を逃し、回復の支援にならない。
📚 ここも一緒におさえておこう
統合失調症は、病期と看護の組合せを入れ替えて問われる。急性期・消耗期・回復期・安定期と、それぞれの関わり方を対にして表ごと覚えておく。
- 陽性症状=幻覚・妄想・思考障害・興奮、陰性症状=感情の平板化・意欲低下・社会的引きこもり
- 被害妄想が残る時期は集団活動を急がせない
| 時期 | 状態 | 看護のポイント |
|---|---|---|
| ①急性期 | 幻覚・妄想・興奮などの陽性症状が前景 | 刺激を減らし安全を確保。休息と確実な服薬 |
| ②消耗期(休息期) | 疲弊し臥床がちで意欲が乏しい | 十分な休息を保障し、急がせない |
| ③回復期 | 現実感が戻り活動性が高まる | 看護師との一対一から段階的に活動・交流を広げる |
| ④安定期 | 症状が落ち着き社会生活へ | 服薬継続の支援、社会資源の活用、再発徴候の共有 |
参考: 日本精神科看護協会「精神科看護の実践」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について