第108回 看護師国家試験 午前 問28 解説
📝 問題
成人の鼠径ヘルニアで正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 成人の鼠径ヘルニアは、内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられる。
鼠径ヘルニアは、腹壁の弱いところから腸管などが皮下へ脱出する病気である。下腹壁動脈を境に、外側から脱出するものを外鼠径ヘルニア、内側の鼠径三角から脱出するものを内鼠径ヘルニアという。
他の3つは、事実と逆か、当てはまらない。 鼠径ヘルニアは男性に多く、設問の1:3は男女が逆である。 やせている人に多いのではなく、加齢による腹壁のゆるみと、重い物を持つ・慢性の咳・便秘などで腹圧が高まることが発症に関わる。 成人では自然に治らないため、保存的治療ではなく手術(根治術)が原則である。
- 1
内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられる。正解
鼠径ヘルニアは下腹壁動脈を基準に外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアに分類される。
- 2
患者の男女比は約1:3である。不正解
鼠径ヘルニアは男性に多く、男女比は男性優位であるため、1:3は男女が逆である。
- 3
やせている人に多い。不正解
やせている人に多いという特徴はない。発症に関わるのは、加齢による腹壁のゆるみと、腹圧が高まる生活である。
- 4
保存的治療を行う。不正解
成人の鼠径ヘルニアは自然治癒せず、原則として手術(根治術)が必要である。
📚 混同しやすいので注意
鼠径部のヘルニアは、下腹壁動脈との位置関係と脱出する部位で分類する。名前と場所を組にして覚えよう。 成人ではいずれも自然治癒せず、手術が原則である。
- 手術は、腹壁の弱くなった部分をメッシュで覆って補強する方法が主流である。
- 嵌頓は脱出した臓器がもとに戻らず締めつけられた状態で、腸管壊死を招くため緊急手術の適応となる。
- 小児の鼠径ヘルニアには高位結紮術が行われる。
| 種類 | 脱出部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 外鼠径ヘルニア | 下腹壁動脈の外側(内鼠径輪から鼠径管へ) | 小児・若年者に多い。腹膜鞘状突起の開存による先天性が多く、嵌頓しやすい |
| 内鼠径ヘルニア | 下腹壁動脈の内側(鼠径三角=Hesselbach〈ヘッセルバッハ〉三角) | 高齢男性に多く、腹壁の脆弱化による後天性 |
| 大腿ヘルニア | 大腿輪(鼠径靱帯の下方) | 高齢の経産婦に多く、嵌頓の頻度が高い |
参考: 標準的な外科学・成人看護学教科書(鼠径ヘルニア)
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について