第108回 看護師国家試験 午前 問117 解説
📝 問題
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。 Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。 この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
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💡 解説
✅ 食後の呼吸困難には、1回の食事量を減らして食事回数を増やす分割食を指導する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)では横隔膜が平低化しており、胃が食物でいっぱいになると横隔膜の動きが妨げられて息苦しくなる。 これが食後の呼吸困難である。
1回の食事量を減らして回数を増やす分割食(少量頻回食)にすると、胃の膨らみによる横隔膜の制限がやわらぎ、呼吸への負担を抑えられる。 食後に軽い呼吸困難が出るAさんへの指導として最も適切である。
残る3つは、呼吸困難を軽くする手立てにならない。 外出を減らすと動く機会が減り、廃用が進む。 食事の準備をすべて任せると、Aさんが自分でできることまで手放してしまう。 食後すぐの排泄はいきみを伴い、かえって呼吸の負担が増す。
- 1
1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。正解
1回量を減らし回数を増やす分割食は、胃の膨満による横隔膜運動の制限をやわらげ、食後の呼吸困難を防ぐ。
- 2
買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。不正解
買い物を兼ねた外出を減らすと活動量の低下や廃用を招きかねない。
- 3
食事の準備は訪問介護員に任せる。不正解
食事準備をすべて訪問介護員に任せるのは自立支援の観点で最適でなく、呼吸困難の直接的対策でもない。
- 4
食後すぐに排泄をする。不正解
食後すぐの排泄はいきみにより呼吸への負荷が増すことがある。
📚 ここも一緒におさえておこう
慢性閉塞性肺疾患では呼吸筋の仕事量が増えてエネルギーの消費が大きくなる一方、食事のたびに息切れして摂取量が減る。 そのため体重減少・るい痩を来しやすい。
- 高エネルギー・高蛋白の食事とし、1回量を減らして5〜6回に分ける(分割食)
- ガスが発生しやすい食品(炭酸飲料、いも類、豆類)や、一度に多量の水分は腹部膨満を招くため控えめにする
- 食事の前に排痰と休息をとり、酸素は指示された流量のまま継続する
- 口すぼめ呼吸は気道の虚脱を防いで呼気を助け、腹式呼吸は横隔膜を有効に使う
- 活動量が減ると廃用が進むため、外出や家事は休みながら続けられるよう工夫する
参考: 日本呼吸器学会『COPD診断と治療のためのガイドライン』/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.4 呼吸器』
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について