第107回 看護師国家試験 午後 問99 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 A さん(87歳、男性)。アルツハイマー型認知症。介護老人福祉施設に入所中。 普段は入浴を楽しみにしていた A さんが、1週前に浴室で誤って冷たい水をかぶってしまい、それ以来「お風呂に入ると寒いから嫌だ」と言って、入浴を拒否するようになった。この日も「お風呂は寒い」と言って入浴を拒否している。看護師が浴室と脱衣室の室温を確認すると26℃〜28℃にあたためられていた。また、施設内の温度は一定に設定されており、浴室から部屋まで移動する間も寒さを感じることはなかった。 A さんへの対応として適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 実際の温度は適温であるが本人が寒いと訴えているため、一緒に湯温を確認して不安と体験を受け止める対応が適切である。

Aさんは冷水をかぶった不快な体験から「お風呂は寒い」と入浴を拒否しているが、実際の室温・湯温は適切に保たれている。 この場合は本人の訴えを否定せず、「一緒に湯の温度を確認する」ことで、寒くないことを本人自身が確かめられ、安心して入浴に向かえる。 認知症では説明や説得より、共に確かめて体験を通じて納得を得る関わりが有効で、本人の主体性も尊重できる。

入浴の必要性を一方的に説明したり、今日は入浴しなくてよいと安易に伝えたりするのは、寒さへの不安に応えないまま拒否を固定させる。特殊浴槽は自分で浴槽に入れない人のための手段で、移動できるAさんには不要である。 認知症ケアでは「訴えを受け止め、一緒に確かめて安心を得る」対応が繰り返し問われる。

特殊浴槽とは

寝たまま、または座ったまま入浴できる機械浴の浴槽。自分で浴槽をまたげない人に使う。

  • 1

    入浴の必要性を説明する。不正解

    必要性の一方的な説明は寒さへの不安に応えておらず、かえって拒否を強めるおそれがある。

  • 2

    特殊浴槽での入浴を勧める。不正解

    特殊浴槽は身体的に入浴困難な場合の手段。Aさんは移動可能で自立入浴が可能なため不要である。

  • 3

    一緒に湯の温度を確認する。正解

    本人の訴えを否定せず一緒に湯温を確認することで、寒くないことを体験的に確かめられ安心して入浴できる。

  • 4

    今日は入浴しなくてよいと伝える。不正解

    安易に入浴を中止すると清潔保持の機会を失い、拒否の固定化につながる。

📚 ここも一緒におさえておこう

高齢者の入浴は、湯温・室温などの数値と、安全のための配慮がまとめて問われる。 快適さと安全(ヒートショック・のぼせ・転倒)を両立させる、という軸で覚えよう。

  • 湯温は38〜41℃程度のぬるめ、入浴時間は10分程度が目安
  • 脱衣室・浴室は22〜26℃程度にあたため、居室との温度差をなくす(ヒートショック予防)
  • 入浴前後は水分補給を行い、飲酒直後・食事直後の入浴は避ける
  • 入浴を拒否する場合は理由(寒さ・羞恥心・痛み・過去の不快体験)を探り、無理強いしない
  • 心疾患のある高齢者では半身浴とし、湯温を上げすぎない

参考: 日本認知症ケア学会「認知症ケア標準テキスト」

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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