第107回 看護師国家試験 午後 問117 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 A さん(72歳、男性)。脳梗塞でt-PAによる血栓溶解療法後、経鼻胃管による経管栄養中。 入院3日の20時、A さんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。 担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 夜間に落ち着かず点滴やチューブを触る場面では、まずバイタルサインを測定して原因を評価することが適切である。
入院3日目の夜にAさんが目を覚まし、点滴や経鼻胃管を触って落ち着かないのは、せん妄や体の不調(低酸素・発熱・疼痛・尿意など)が背景にあるかもしれない。 最初に行うのは、拘束や薬に手を伸ばす前にバイタルサインを測り、全身の状態から不穏の原因を探ることである。 原因が分かって初めて、次に何をすべきかを選べる。
他の3つは、原因を確かめないまま行動を抑えにいく対応である。身体拘束は切迫性・非代替性・一時性の三要件を満たすときの最終手段、早めの消灯は環境を変えるだけ、向精神薬は医師の指示を経て検討するものである。
不穏とは
落ち着かず、じっとしていられない状態。そわそわして起き上がる、点滴や管を触るといった行動が出る。
- 1
身体拘束を行う。不正解
身体拘束は切迫性・非代替性・一時性の3つを満たすときにかぎって行う最終手段で、原因を確かめる前の対応ではない。
- 2
早めに消灯をする。不正解
早めの消灯は原因を評価せず環境を変えるだけで、不穏の根本対応にならない。
- 3
バイタルサインを測定する。正解
まずバイタルサインを測定し全身状態を評価して不穏の身体的原因を探ることが最初の対応として適切。
- 4
向精神薬の使用を検討する。不正解
向精神薬の使用は原因評価と医師の指示を経て検討すべきで、最初に行う対応ではない。
📚 混同しやすいので注意
せん妄は身体的な原因で起こる急性の意識障害で、原因を取り除けば改善しうる。認知症と入れ替えて問われるので、発症の速さと意識の状態で見分けよう。
- 要因は準備因子(高齢・認知症)・直接因子(低酸素、感染、脱水、電解質異常、薬剤)・誘発因子(環境変化、疼痛、不眠、身体拘束)
- 予防・対応は見当識への働きかけ、昼夜のリズム、早期離床、疼痛管理、不要なルート類の整理
- 身体拘束は切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たす場合の最終手段で、記録と定期的な見直しが必要
| 項目 | せん妄 | 認知症 |
|---|---|---|
| 発症 | 急激(数時間〜数日) | 緩徐(数か月〜数年) |
| 経過 | 動揺性、夜間に悪化しやすい | 慢性・進行性 |
| 意識 | 混濁する | 基本的に清明 |
| 可逆性 | 原因除去で改善しうる | 基本的に不可逆 |
参考: 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」/日本総合病院精神医学会「せん妄の臨床指針」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について