第107回 看護師国家試験 午前 問53 解説
📝 問題
Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CT(別冊No.2)を別に示す。Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 内出血斑・大泉門膨隆・傾眠を伴う本児の頭部CT所見として考えられるのは硬膜下血腫である。
生後4か月の乳児で、複数の内出血斑、進行する大泉門の膨隆(頭蓋内圧亢進)、傾眠・眼球上転・けいれん、発熱がない(体温36.8℃)という所見は、頭蓋内出血、なかでも硬膜下血腫を強く示唆する。別冊No.2の頭部CTで考えられるのも、この硬膜下血腫である。 乳児の硬膜下血腫は虐待による頭部外傷(乳幼児揺さぶられ症候群)でみられることがあり、多発する皮下出血斑も虐待を疑う所見である。
他の選択肢は、本児の所見と合わない。急性脳症と細菌性髄膜炎はいずれも通常発熱を伴うが、本児に発熱はない。てんかんでは、CTの血腫像や大泉門の膨隆、多発する内出血斑を説明できない。
- 1
急性脳症不正解
急性脳症は通常発熱を伴って発症し、多発する内出血斑やCTの血腫像は典型的でない。本児の体温は36.8℃である。
- 2
てんかん不正解
てんかんは、大脳の神経細胞が過剰に興奮して起こる発作を繰り返す疾患で、CTの血腫像・大泉門の膨隆・多発する内出血斑は説明できない。
- 3
硬膜下血腫正解
多発する内出血斑・大泉門の膨隆・頭蓋内圧亢進の所見は、CT上の硬膜下血腫に合致する。
- 4
細菌性髄膜炎不正解
細菌性髄膜炎は通常発熱と髄膜刺激症状を伴うが、本児の体温は36.8℃である。CTの血腫像や多発する内出血斑も説明できない。
📚 国試でよく狙われるところ
乳児の頭蓋内出血は、頭蓋内圧亢進のサインと、虐待を疑ったあとの動き方がまとめて問われる。「何を見て気づくか」と「気づいたらどこへつなぐか」を1組で覚えよう。 体温が正常で髄膜刺激症状に乏しくても、傾眠・けいれん・嘔吐や大泉門の膨隆といった頭蓋内圧亢進のサインを見逃さない。
- 大泉門は生後1歳〜1歳6か月頃に閉鎖する(小泉門は生後2〜3か月頃)。膨隆は頭蓋内圧亢進、陥没は脱水を示唆する。
- 虐待による頭部外傷(乳幼児揺さぶられ症候群)では、硬膜下血腫・眼底出血・脳浮腫がみられることがある。
- 受傷機転の説明が傷の程度や発達段階と合わない、受診が遅れている、説明が変わるといった点は虐待を疑う手がかりとなる。
- 児童虐待を疑ったら市町村・児童相談所(福祉事務所)へ通告する。確証がなくても「疑い」の段階で通告義務があり、守秘義務違反にはならない。
参考: 系統看護学講座 小児看護学/日本小児科学会 虐待による頭部外傷
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について