第107回 看護師国家試験 午前 問38 解説
📝 問題
入浴の際に血圧が低下しやすい状況はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 入浴で血圧が低下しやすいのは、温熱で拡張した血管に静水圧の解除が加わる、浴槽から出たときである。
浴槽の湯に浸かっている間は温熱により血管が拡張する一方、静水圧が全身を圧迫して静脈還流を保つため血圧は保たれやすい。
浴槽から出ると、この静水圧が急に解除されて拡張した血管に血液が貯留し、静脈還流が減少して血圧が低下しやすくなる。起立性低血圧を合併するとめまい・失神による転倒の危険がある。
静水圧とは
湯につかった体にかかる水の圧力。下肢や腹部を外から締めつけ、静脈の血液を心臓へ戻りやすくする。
- 1
浴槽に入る前に湯を身体にかけたとき不正解
入浴前のかけ湯は身体を湯に慣らす行為で、この時点で血圧が大きく低下しやすいわけではない。
- 2
浴槽の湯に肩まで浸かったとき不正解
肩まで浸かると温熱で血管は拡張するが静水圧が静脈還流を保つため、血圧は比較的維持されやすい。
- 3
浴槽から出たとき正解
浴槽から出ると静水圧が解除され、拡張した血管に血液が貯留して血圧が低下しやすい。
- 4
浴室から脱衣所に移動したとき不正解
脱衣所への移動時は寒冷刺激でむしろ血管が収縮し血圧は上がりやすく、低下しやすい場面ではない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
入浴は、温熱・静水圧・浮力の3つの作用が場面ごとに血圧をどちらへ動かすかで問われる。湯につかる・湯から出る・脱衣所へ移る、と場面で分けて考えよう。 湯温は40℃前後(38〜41℃)、入浴時間は10分程度が目安。42℃以上の高温浴は交感神経を刺激し血圧上昇・心負荷を招く。 食直後や飲酒後の入浴は避け、前後に水分を補給する。
- ヒートショック=脱衣所や浴室と居室の温度差による急激な血圧変動。冬季の高齢者に多く、脱衣所と浴室を暖めて予防する。
- 浴槽から出るときは静水圧の解除で血圧が下がりやすいため、ゆっくり立ち上がる。
- 心疾患のある人には半身浴が静水圧の負担が少なく適する。
| 作用 | 身体への影響 |
|---|---|
| 温熱作用 | 血管拡張、血流増加、筋緊張の緩和、新陳代謝の促進 |
| 静水圧作用 | 下肢の静脈・リンパの還流を促す。心肺への負担にもなる |
| 浮力作用 | 体重が軽くなり関節や筋の負担が減る(運動療法に利用) |
参考: 系統看護学講座 基礎看護技術
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について