第106回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン〉病で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅡ。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。 Aさんは「最近、尿が出始めるまでに時間がかかるので、排尿時は自分で下腹部を押しています。尿がすっきり出ません」と言う。泌尿器科を受診したところ、Parkinson〈パーキンソン〉病による自律神経障害と診断された。 Aさんの現在の状況から最も考えられるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 排尿に時間がかかり、腹圧をかけても出しきれない状態から、残尿があると考えられる。
尿が出始めるまでに時間がかかる(排尿遅延)、下腹部を押さないと出ない(腹圧排尿)、出しきった感じがない。いずれも膀胱にたまった尿を出しきれない排出障害の症状で、残尿があると考えられる。 Parkinson〈パーキンソン〉病の自律神経障害では膀胱を収縮させる働きが弱まり、この状態が起こる。
他の3つは尿をためる側の問題で、ためられないときは頻尿や尿もれとして現れる。Aさんの訴えとは症状の出方が違う。
残尿が続くと尿路感染や腎機能の低下につながる。携帯型の超音波装置で残尿量を測り、量に応じて導尿を検討する。
- 1
残尿がある。正解
膀胱の収縮する力が弱く、排尿しても尿が残っている状態。腹圧をかけて出そうとしているのはそのためである。
- 2
膀胱が萎縮している。不正解
膀胱の萎縮は、間質性膀胱炎や結核などで膀胱の容量そのものが小さくなった状態。ためられる量が減るので頻尿になる。
- 3
蓄尿障害が生じている。不正解
蓄尿障害は尿をためておけない状態で、頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁として現れる。Aさんの訴えは尿を出すときの症状である。
- 4
骨盤底筋群の筋力が低下している。不正解
骨盤底筋群の筋力低下は、咳やくしゃみでもれる腹圧性尿失禁の原因になる。女性に多く、尿の出にくさとは結びつかない。
📚 国試でよく狙われるところ
排尿障害は「ためられない」と「出せない」のどちらかに必ず分けられる。症状の言葉からどちらかを判定する形で問われるので、症状ごと組にして覚えよう。
- ためられない(蓄尿障害)の症状は頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁で、代表は過活動膀胱
- 出せない(排出障害)の症状は排尿遅延・腹圧排尿・残尿感で、代表は前立腺肥大症と膀胱の収縮力低下
- 残尿量100mL以上は排尿障害を疑う所見。多いときは清潔間欠導尿で定期的に出す
参考: パーキンソン病診療ガイドライン(日本神経学会)/医療情報科学研究所編『病気がみえる 腎・泌尿器』関連資料
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について