第106回 看護師国家試験 午後 問118 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み117、118の問いに答えよ。Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞と診断された。 緊急心臓カテーテル検査で左冠動脈起始部に90%の閉塞を認め、緊急冠動脈バイパス術が行われた。術後5日、集中治療室から一般病棟に転棟した。Aさんは「手術も無事終わって命が助かった。リハビリテーションが大切と聞いたので、頑張って廊下を歩きますよ」と看護師に話した。術後のADL拡大は順調に進み、Aさんは病棟内での200mの歩行が許可されている。胸部症状の出現や心電図の変化は認めない。 Aさんへの心臓リハビリテーションについて適切なのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 息苦しさが出たら運動を中止するよう伝えるのが適切である。

Aさんは意欲が高く、「頑張って廊下を歩きますよ」と許された範囲を超えて動いてしまう心配がある。 心臓リハビリテーションは、決められた範囲で少しずつ負荷を上げることと、危険なサインが出たらやめることの2つで安全が保たれる。

運動をやめる目安は、息苦しさ・胸痛・動悸・強い疲労感、めまいや冷汗である。 Aさんに伝えるのは頑張る量ではなく、この中止のサインのほうである。自分で判断できるようになると、退院後も安全に続けられる。

残る3つは、いまの段階に合わない。階段昇降は200mの歩行が安定したあとの段階で、衣服の着脱は自分でできる動作として続けるほうがよく、レジスタンストレーニングは歩行が安定してから補助的に加えるものである。

心臓リハビリテーションとは

心臓の病気や手術のあと、安全に体を動かせる範囲を広げていく取り組み。医師・看護師・理学療法士などがチームで進める。

  • 1

    息苦しさが出現したら中止する。正解

    息苦しさ・胸痛・動悸・強い疲労は運動をやめる合図で、本人が判断できると退院後も安全に続けられる。

  • 2

    気分の良いときに階段昇降を勧める。不正解

    階段は平地の歩行より心臓の負担が大きく、200mの歩行が安定してから症状と心電図を確かめて進める段階である。気分だけを目安には決めない。

  • 3

    衣服の着脱は家族に介助してもらう。不正解

    着替えは負担の軽い動作で、自分で続けるほうが体力の回復と自信につながる。

  • 4

    レジスタンストレーニングを中心に行う。不正解

    レジスタンストレーニングは筋力をつける運動で、心臓リハビリテーションの中心は歩行などの有酸素運動である。こちらは経過をみながら補助的に加える。

📚 ここも一緒におさえておこう

心臓リハビリテーションは、いつ始めるか・どこまで進めるか・いつやめるかで問われる。「症状が出たらやめる」を軸に覚えよう。

  • 手術や発作の翌日から、座る・立つ・歩くと段階を進め、そのつど症状と心電図を確かめる
  • 運動の強さの目安は「ややきつい」と感じるところまで(ボルグスケール13)
  • 運動だけでなく、食事・禁煙・服薬・ストレスへの対応まで含めた包括的なプログラムである

参考: 日本循環器学会「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」/系統看護学講座 成人看護学 循環器

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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