第106回 看護師国家試験 午後 問114 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症による敗血症で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 Aさんには有害事象はみられなかったが、医師の指示量の2倍のノルアドレナリンが3時間投与されていた。これは、医師がノルアドレナリンの減量を指示書に記載し、夜勤の担当看護師にそれを伝えたが、担当看護師が実際に減量することを忘れたことが原因だった。病棟では、リスクマネジメントとしてこの出来事の再発防止策を考えることとなった。 再発防止策で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 指示が変わったときに複数の看護師で情報を共有する仕組みをつくることが、再発防止策として適切である。
今回の出来事は、知識や技術が足りなかったのではなく、伝えられた指示が実行されないまま流れたことで起きている。 医療安全では人はミスをすることを前提に、個人の注意ではなく仕組みで防ぐ。
指示が変わったときに、その場にいる看護師どうしで声に出して確認し、指示書とポンプの設定を突き合わせておけば、1人が忘れても別の1人が気づける。複数の目を通す形にすることが、同じ失敗を繰り返さない対策になる。
残る3つは、この出来事の原因につながらない。薬剤の研修も機器の再教育も知識不足への対策であり、反省文を書かせるやり方は個人を責めるだけで、報告そのものが出てこなくなる。
- 1
薬剤に関する研修会を企画する。不正解
薬の知識を深める取り組みで、今回のように「知っていたのに実行されなかった」出来事は防げない。
- 2
医療機器の操作方法を再教育する。不正解
機器の使い方は誤っておらず、変更の指示が実行されなかったことが原因である。
- 3
インシデントを起こした看護師は反省文を書くこととする。不正解
個人を責めるやり方で、報告が出にくくなり危険の芽を見つける機会が減る。医療安全は人ではなく仕組みを直す。
- 4
医師の指示内容の変更時は、複数の看護師で情報共有をする。正解
1人の記憶に頼らず複数の目を通す仕組みで、伝達の抜けをその場で見つけられる。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
医療安全は、出来事の呼び分けと再発防止の考え方がセットで問われる。「人を責めず仕組みを直す」を軸にすると解ける。
- インシデント=患者に害が及ばなかった出来事。ヒヤリ・ハットともいう
- アクシデント=実際に患者に害が生じた出来事
- 報告は責任を問うためではなく、危険の芽を集めて仕組みを直すために行う
- 対策は「気をつける」ではなく、手順・表示・機器の設定など仕組みを変える形にする
参考: 厚生労働省「医療安全対策」/日本看護協会「医療安全推進のための標準テキスト」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について