第106回 看護師国家試験 午後 問111 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。 訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 就学先を決めるのは市町村の教育委員会なので、そこへ相談するよう勧める。
小学校に入るときの学びの場は、市町村の教育委員会が決める。 本人と保護者の意見を聞き、医師や専門家の意見も加えて、通常の学級・特別支援学級・特別支援学校のどこで学ぶかを話し合う就学相談の仕組みがある。訪問看護師の役割は、この窓口へ母親をつなぎ、Aちゃんの状態と必要なケアを伝えられるように支えることである。
就学相談は入学の前の年から始まるので、この時期の相談は早すぎない。 Aちゃんのように、学校生活のあいだも経管栄養やたんの吸引が必要な子どもを医療的ケア児といい、受け入れの体制づくりもあわせて相談する。
残る3つは、看護師が就学先や家族の役割を先に決めてしまう対応になる。訪問教育も特別支援学校も選べる道の1つにすぎず、通学の手段は就学先が決まってから家族と学校で話し合うことである。
医療的ケア児とは
日常的に経管栄養・たんの吸引・人工呼吸器などの世話が必要な子ども。過ごす場は病院だけでなく家庭や学校へ広がっている。
- 1
自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。不正解
自宅や病院へ教員が出向く訪問教育は特別支援学校が行う形が中心で、しかも就学先が決まる前に看護師が学校へ連絡する順序ではない。まず教育委員会に相談する。
- 2
Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。不正解
特別支援学校は選べる場の1つで、通常の学級や特別支援学級も含めて話し合ったうえで決まる。看護師が先に1つへ絞ると、家族が選ぶ機会を狭めてしまう。
- 3
父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。不正解
通学の手段は就学先が決まってから相談することで、通学バスや福祉サービスを使える場合もある。家族の役割分担を看護師が指示することにもなる。
- 4
教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。正解
就学先を決めるのは市町村の教育委員会で、本人と保護者の意見を聞いて話し合う就学相談につながる。
📚 ここも一緒におさえておこう
医療的ケアが必要な子どもの就学は、誰が決めるか・どんな学びの場があるかで問われる。決める人と場を対にして覚えよう。
- 就学先は、本人と保護者の意見を最大限に尊重して総合的に判断される。相談の窓口は住んでいる市町村の教育委員会である
- 学びの場は、通常の学級・通級による指導・特別支援学級・特別支援学校の4つ。通学が難しいときは訪問教育がある
- 医療的ケア児支援法(2021年施行)で、学校に看護師などを置いて受け入れる体制を整えることが自治体の責務になった
参考: 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」/系統看護学講座 在宅看護論
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について