第106回 看護師国家試験 午後 問107 解説
📝 問題
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。 診察では幻聴の悪化が認められたため、薬物治療の見直しが行われた。その後、定期的に両親同伴で外来通院を続けた。3か月後、幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった。外来の診察で、悪化した原因を改めて振り返ったところ、Aさんは「半年前から家族に分からないように薬をトイレに捨てていた」と話した。診察後、Aさんからそれを聞いた両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱ると、Aさんの表情は険しくなった。 Aさんの両親に勧めるものとして適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 病気と薬について家族が学び、対応の仕方を身につける心理教育を勧める。
Aさんは半年前から自分の判断で薬をやめていて、それが幻聴の悪化につながっていた。 両親はそれを医療者の前で大声で叱っており、病気と薬をどう受けとめればよいか分からない状態にある。
心理教育は、病気の症状・薬の働きと副作用・再発のサイン・困ったときの相談先を、本人と家族に分かる言葉で伝える取り組みである。 家族の強い叱責や過度の巻き込みは高い感情表出とよばれ、再発率を高めることが分かっている。両親が知識をもち、責めずに支える関わり方を身につけることが、そのままAさんの再発予防になる。
残る3つは、いずれも家族ではなく本人の内面を扱う技法である。内観療法は身近な人との関わりを思い出して見つめ直す方法、自律訓練法は決まった言葉を唱えて体の緊張をゆるめる方法、精神分析療法は無意識の葛藤を言葉にしていく方法で、家族への支援としては選ばれない。
心理教育とは
病気や薬、再発のサインと対処の仕方を、本人や家族に分かる言葉で伝えて一緒に考える支援。家族を対象に行うものもある。
- 1
心理教育正解
病気・薬・再発のサインと対応を本人と家族が一緒に学ぶ方法で、家族の関わり方が変わり再発予防につながる。
- 2
内観療法不正解
内観療法は、身近な人に「してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと」を思い出して自分を見つめ直す、本人の内省を深める方法である。
- 3
自律訓練法不正解
自律訓練法は、決まった言葉を心の中で繰り返して体の緊張をゆるめる、本人のリラクセーション法である。
- 4
精神分析療法不正解
精神分析療法は、自由連想などを通して無意識の葛藤に気づいていく、本人の長期的な心理療法である。
📚 ここも一緒におさえておこう
統合失調症の再発は、服薬の中断と家族の関わり方の2つから問われる。家族への支援と本人への支援を分けて覚えよう。
- 批判・敵意・巻き込みすぎといった高い感情表出のもとでは再発しやすく、家族が接し方を変えることが予防になる
- 家族が学べる場には、医療機関の家族心理教育のほか、家族会や訪問看護がある
- 本人向けには、対人関係や服薬の技術を練習する生活技能訓練〈SST〉がある
参考: 系統看護学講座 精神看護学/厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」統合失調症
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について