第106回 看護師国家試験 午前 問95 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。入院後6日、左前腕部の接着部から末梢側が壊死し、前腕切断術が行われた。術後4日、Aさんは幻肢痛を訴えた。 看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 切断端に弾力包帯を巻き、腫れを抑えて断端の形を整える。
Aさんは前腕を切断して4日目で、幻肢痛を訴えている。断端の腫れが強いほど痛みも強まりやすい。
弾力包帯を末梢から中枢へ向けて巻くと、断端にたまった水分が押し戻されて腫れが引き、義肢を入れられる円錐形に整っていく。腫れと痛みがともに軽くなるので、術後の早い時期から続ける。
他の選択肢は、この時期にはあてはまらない。断端のマッサージは創が治ってから行う方法で、術後4日では創部への刺激になる。 肘を曲げたままにすると屈曲拘縮が起こり、義肢を着けても動かせなくなる。 幻肢痛には鎮痛薬や神経の痛みに効く薬が使われるので、効かないと決めつけずに痛みの強さを聞き取りながら薬を調整する。
幻肢痛とは
切断して無くなったはずの手足が、まだあるように感じてそこが痛む症状。神経の痛みの一つで、切断した人の多くが経験する。
- 1
切断端に弾力包帯を巻く。正解
末梢から中枢へ巻き上げて断端を圧迫すると、腫れが引いて断端の形が整い、幻肢痛もやわらぐ。
- 2
切断端のマッサージを行う。不正解
断端のマッサージは創が治ってから行う方法である。術後4日では創部への刺激になり、この時期には行わない。
- 3
肘関節を屈曲したままにする。不正解
肘は伸ばした位置を保つ。曲げたままにすると屈曲拘縮が起こり、義肢を使いにくくなる。
- 4
鎮痛薬では幻肢痛を軽減できないことを説明する。不正解
幻肢痛には鎮痛薬のほか、神経の痛みに効く薬も使われる。痛みの強さを聞き取りながら調整すると伝える。
📚 ここも一緒におさえておこう
切断後の看護は、断端をどう整えるかと幻肢痛をどう扱うかが対で問われる。断端=腫れを取る、幻肢痛=痛みとして扱う、と覚えよう。
- 幻肢(失った手足がまだあるように感じること)は切断した人の多くが経験する。異常ではないと伝えるだけでも不安が減る。
- 幻肢痛には薬に加え、ミラーセラピー(鏡に残っている側の手を映して動かす方法)や、断端をさすって刺激に慣らす方法がとられる。
- 断端は毎日洗って乾かし、傷や発赤がないかを見る。義肢を着けると擦れやすい。
参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 運動器・整形外科』/切断者のリハビリテーション看護(断端管理と義肢装着)
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について