第106回 看護師国家試験 午前 問119 解説

状況設定在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み118、119の問いに答えよ。Aさん(89歳、女性)は、認知症と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。ある冬の訪問時、長男が「母がここ数日寒さを訴え、居間にある電気こたつの温度を最も高くして、肩までもぐり込んでそのまま朝まで眠ってしまう」と話した。 長男の話を受けて、看護師が最初に観察する項目で最も優先度が高いのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 最初に観察するのは全身の皮膚の状態である。

Aさんは電気こたつの温度を最も高くして、肩までもぐり込んだまま朝まで眠っている。 これが数日続いている。

長い時間、同じ姿勢で熱源に触れ続けると低温熱傷が起こる。 高齢で認知症があると、熱さや痛みを自分から訴えにくく、気づかないうちに深いところまで傷んでいることがある。 こたつの中で汗をかいて水分が失われるため、皮膚の乾燥や脱水も同時に進む。 どちらも、全身の皮膚を見ることで確かめられる。

残る3つは、いま最初に見る項目ではない。 こたつで動かない時間が長ければ筋力は落ちるが、数日で急に危険になるものではない。 寒さの訴えのほかに、感染をうかがわせる症状は挙がっていない。 認知機能の程度は、すでに起きている体の変化を確かめたあとに評価する。

低温熱傷とは

44〜50℃ほどの、熱いと感じにくい温度のものに長く触れて起こる熱傷。痛みが軽いまま深いところまで傷むことがある。

  • 1

    筋力低下の有無不正解

    こたつで動かない時間が続けば筋力は落ちるが、数日のうちに命に関わるものではない。

  • 2

    感染徴候の有無不正解

    訴えているのは寒さだけで、発熱や食欲の低下といったほかの感染徴候は挙がっていない。まず確かめるのは、熱源に長く触れていた皮膚のほうである。

  • 3

    認知機能のレベル不正解

    危険を判断できているかを知る意味はあるが、すでに起きている体の変化を先に確かめる。

  • 4

    全身の皮膚の状態正解

    熱源に長く触れ続けたことで低温熱傷が起きている可能性があり、こたつの中で水分も失われている。背中や下肢まで含めて全身の皮膚を確かめる。

📚 混同しやすいので注意

低温熱傷は、熱いと感じない温度で起こるうえ、見た目が軽くても深いところまで達する。冬の在宅では、暖房器具と部屋の温度差の2つが問われる。

  • 湯たんぽ・電気毛布・使い捨てカイロ・こたつはいずれも低温熱傷のもと。眠るときは電源を切るか、体から離す
  • 暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移ると血圧が大きく動く(ヒートショック)。脱衣所と浴室を暖め、湯温は41℃以下にする
  • 高齢者は暑さ寒さを感じ取りにくいため、室温は本人の訴えではなく温度計で確かめる

参考: 消費者庁『高齢者の入浴中の事故への注意喚起』/医学書院『系統看護学講座 在宅看護論』

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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