第105回 看護師国家試験 午前 問82 解説
📝 問題
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染経路で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ ヒト免疫不全ウイルスは、感染者からの輸血と、感染者との性行為によって感染する。
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉がうつる道すじは3つだけである。性的感染(性行為)、血液感染(輸血・注射針の共用・針刺し事故)、母子感染(妊娠中・分娩時・母乳)。 ウイルスが多く含まれるのは血液・精液・腟分泌液・母乳で、これらが粘膜や傷口に触れて体内に入る。
嘔吐物・糞便・唾液・汗・涙に含まれる量はごくわずかで、日常のふれあいではうつらない。せきやくしゃみで空気を介してうつることもない。
日本では輸血用の血液が厳重に検査されており、輸血による感染は極めてまれになっている。それでも経路としては成立する。
- 1
感染者の嘔吐物との接触不正解
嘔吐物にウイルスはほとんど含まれず、触れても感染しない。ただし嘔吐物の処理は、原因を問わず手袋とマスクを着けて行う。
- 2
感染者の咳による曝露不正解
空気や飛沫ではうつらない。同じ部屋で過ごす、せきを浴びるといった場面で感染することはない。
- 3
感染者の糞便との接触不正解
糞便との接触でも感染しない。トイレや浴室、食器を共用しても問題はない。
- 4
感染者からの輸血正解
血液には多量のウイルスが含まれる。輸血のほか、注射針の共用や医療者の針刺し事故が血液感染の経路になる。
- 5
感染者との性行為正解
精液や腟分泌液に含まれるウイルスが粘膜から入る。日本の新規感染の大半がこの経路である。
📚 混同しやすいので注意
うつり方は、うつる場面とうつらない場面を並べて問われる。3つの経路と、そこでの防ぎ方を組にして覚えよう。
- うつる=性行為、注射針の共用、輸血や血液製剤、針刺し事故、妊娠・分娩・授乳
- うつらない=握手や抱擁、同じ食器や浴槽、せき・くしゃみ、蚊などの虫刺され
- 母子感染は、抗ウイルス薬の内服・帝王切開・人工乳への切り替えで大きく減らせる
- 針刺し事故では傷口を流水と石けんで洗い、ただちに報告して、できるだけ早く予防内服を始める
参考: 厚生労働省「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」/疾病の成り立ちと回復の促進(感染症)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について