第105回 看護師国家試験 午前 問66 解説
📝 問題
Aさん(75歳、男性)は、2型糖尿病で超速効型インスリンによる治療を行っている。災害に備えてAさんに指導する必要があるのはどれか。
✅ 正解
2・3
⚖️ 出題時に複数の選択肢が正解と認められた「複数正解(救済)」問題です。いずれか一つを選べば正解とされました。
💡 解説
✅ 使用しているインスリンの名称を正確に覚えることと、消毒薬が手に入らないときは消毒せずに注射してよいことの、いずれも正答として扱われた。
本問は、設問が不明確で複数の答えが考えられるとして、厚生労働省が2つを正答として採点した問題である。
災害では薬が手元から失われ、同じ製剤がすぐ手に入るとは限らない。インスリンは種類によって効き始めと効き目の続く時間が違うので、使っている製剤の名称を言えることが、避難先で代わりを用意してもらうときの手がかりになる。お薬手帳を非常持ち出し袋に入れておく。
もう一つは消毒についてである。皮膚の消毒はできるほうがよいが、それより注射の継続が優先される。消毒薬が手に入らない場面では、消毒せずに注射してよい。
残る2つは指導の内容として当てはまらない。インスリンは開封すると4週間ほどで使い切るのが目安で、1年も持つものではない。 超速効型インスリンを打つ時機も、平常時どおりとは限らない。避難所では食事の量が読めないため、食べたあとに打つといった調整が要る。
超速効型インスリンとは
打ってから10〜20分で効き始め、3〜5時間で効き目が切れるインスリン。食事の直前に打つ。
- 1
開封したインスリンは1年間使用できる。不正解
開封したインスリンは室温で保存し、おおむね4週間を目安に使い切る。未開封のものは冷蔵庫(2〜8℃)で使用期限まで保存する。
- 2
使用しているインスリンの名称を正確に覚える。正解
使っている製剤の名称が言えると、避難先で同じ種類のインスリンを用意してもらいやすい。お薬手帳を持ち出す準備もあわせて行う。
- 3
消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。正解
消毒薬が手に入らないときは、消毒をせずに注射する。注射をやめるほうが高血糖やケトアシドーシスを招き、危険が大きい。
- 4
平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う。不正解
超速効型インスリンは平常時は食直前に打つ。災害時は食事がとれるとは限らないため、食べられた量を見てから打つなど時機を調整する。
📚 ここも一緒におさえておこう
災害時の糖尿病の備えは、「薬を切らさない」と「低血糖を防ぐ」の2つで問われる。持ち出すものと避難所での注意をセットで覚えよう。
- 非常持ち出し袋にはインスリン・注射針・血糖測定器・お薬手帳を入れ、低血糖に備えてブドウ糖や飴も加える
- 停電で冷蔵庫が使えないときは、直射日光と高温を避け、できるだけ涼しい場所に置く
- 避難所では食事が炭水化物に偏り、活動量も変わる。血糖値をこまめに測り、低血糖の症状に注意する
参考: 日本糖尿病学会「災害時の糖尿病診療マニュアル」/厚生労働省「第105回看護師国家試験における採点除外等の取扱いをした問題について」
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について