第104回 看護師国家試験 午後 問111 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病と診断された。 入院後2か月。Aさんと夫は主治医と面接し、Aさんは2週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、Aさんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。 うつ病の回復期にあるAさんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 回復期にあるAさんには、希死念慮の確認が最も優先度が高い。
Aさんは退院を目標に、外出を繰り返せるまで回復した。うつ病で自殺の危険が最も高まるのは、この回復期である。気持ちの落ち込みは残ったまま行動する力だけが先に戻るため、考えていたことを実行できてしまう。
Aさんは外出から戻るとすぐに臥床している。外出先で以前のようにできない自分に直面し、落胆している可能性がある。退院という節目も重なるので、まず希死念慮があるかを言葉にして確かめる。
残る3つは、いま優先されない。 食事は3分の2をとれており、外出時の食事内容は生活を整えるときに確認すればよい。 服薬状況は治療を続けるうえで必要な情報だが、命の危険を確かめるほうが先になる。 家庭の経済状況は、退院後の暮らしを具体的に考える段階で扱う。
希死念慮とは
死にたいと思う気持ち。はっきりした計画がなくても、「消えてしまいたい」という漠然とした思いを含む。
- 1
希死念慮の確認正解
気持ちが晴れないまま行動する力が戻る回復期は、自殺の危険が高まる。外出後に臥床が増えた変化も落胆のあらわれとして受け止め、死にたい気持ちがあるかを直接尋ねる。
- 2
外出時の食事内容不正解
食事は3分の2まで摂取できており、いま生命に関わる問題ではない。退院後の生活を整える段階で確認する内容である。
- 3
外出時の服薬状況不正解
服薬を続けられているかは再発を防ぐうえで大切な情報。ただし、先に確かめるのは命に関わる希死念慮である。
- 4
Aさんの家庭の経済状況不正解
経済的な心配は退院後の生活に影響する。ただし外出後の変化から読み取るべき危険とは別のもので、優先度は下がる。
📚 国試でよく狙われるところ
自殺予防は、危険が高まる時期と声のかけ方が問われる。「回復期」と「はっきり尋ねる」を対にして覚えよう。
- 自殺について尋ねても危険は高まらない。はっきり尋ねるほうが安全である
- TALKの原則=誠実に向き合う・自殺について尋ねる・話を聴く・安全を確保する
- 薬が効き始めて動けるようになる時期や、退院・復職などの節目も危険が高まる
参考: 系統看護学講座 精神看護学/厚生労働省 自殺総合対策大綱
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について