第104回 看護師国家試験 午前 問55 解説
📝 問題
Aさん(66歳、男性)は、尿管結石症で入院し、鎮痛薬の投与と点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。日常生活は自立している。輸液開始の1時間後、Aさんの病室で大きな音がしたので看護師が駆けつけると、Aさんはベッドサイドに座り込んでいた。「トイレに行こうとベッドから立ち上がろうとして、点滴のスタンドをつかんだら滑った」と話した。転倒後の診察の結果に異常はなかった。Aさんが再び転倒しないための対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 転倒の原因を本人と一緒に振り返り、次にどう動くかを一緒に決めることが最も適切である。
Aさんは日常生活が自立している。今回の転倒は、点滴のスタンドを支えにして立ち上がったこと、輸液で尿の回数が増えていること、鎮痛薬でふらつきやすいことが重なって起きており、原因は1つではない。
自立している人の転倒を防ぐ第一歩は、動きを止めることではなく、原因を本人と一緒に探すことである。スタンドには体重をかけずに押して歩く、立ち上がる前に一呼吸おく、といった具体的な方法が本人の言葉で出てくると、次の行動が変わる。
他の選択肢は、どれも本人の力を使わないやり方である。床上排泄は排泄の自立を奪って廃用を進め、過失の追及は再発の防止につながらず、家族の付き添いは負担が大きく入院中ずっとは続けられない。
- 1
床上排泄にする。不正解
床上排泄は自分でトイレへ行けない人のための方法である。自立している人の排泄を取り上げると筋力が落ち、かえって転倒しやすくなる。
- 2
誰の過失か明らかにする。不正解
誰の責任かをはっきりさせても再発は防げない。転倒の場面で何が起きたかを事実として整理し、対策につなげる。
- 3
転倒の原因を一緒に考える。正解
そのときの状況は本人がいちばんよく知っている。一緒に原因を挙げ、次にどう動くかを本人が決めると、その方法が続く。
- 4
夜間は家族に付き添いを依頼する。不正解
家族の付き添いは負担が大きく、夜間ずっとは続けられない。まず環境と本人の動き方を見直す。
📚 ここも一緒におさえておこう
転倒の対策は「何を禁止するか」ではなく「どうすれば安全に動けるか」で問われる。原因を体の側と環境の側に分けて挙げられるようにしよう。
- 体の側の要因=加齢による筋力低下、めまい、視力の低下、鎮痛薬や睡眠薬の影響。
- 環境の側の要因=履物、照明、床の段差やぬれ、点滴スタンドなどの用具。
参考: 系統看護学講座 老年看護学
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について