第104回 看護師国家試験 午前 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーで2年前に誤嚥性肺炎を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。退院後1週。夜間に落雷による停電が起こった。Aさんの父親から「まだ停電は続いていますが人工呼吸器は動いています。私は今から何をすればいいでしょうか」と慌てた様子で訪問看護師に電話があった。 この時点の訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 停電が続いている間は、人工呼吸器の電源を外部バッテリーに切り替える。
連絡を受けた時点で、人工呼吸器はまだ動き、Aさんの呼吸も保たれている。 内蔵バッテリーでしばらくは動くが、使える時間は限られている。 いま最初にすることは、電源を外部バッテリーに切り替えて、内蔵バッテリーを使い切らないようにすることである。
電源を確保したら、停電がどれくらい続くかを電力会社に確認し、長引くようなら主治医や機器の取扱業者に相談する。
他の3つは、この時点では順番が先にならない。 用手換気は、人工呼吸器が止まってしまったときの手段である。
用手換気とは
バッグを手で押して肺に空気を送り、呼吸を保つ方法。人工呼吸器が使えないときの手段になる。
- 1
「救急車で病院に行きましょう」不正解
受診が必要になるのは、Aさんの状態が悪くなったときや、停電が長引いて家で電源を確保できないときである。いまは電源の確保が先になる。
- 2
「主治医に連絡をとりましょう」不正解
主治医への連絡は、呼吸の状態が変わったときや、電源の見通しが立たないときに行う。まず電源を切り替える。
- 3
「用手換気に切り替えましょう」不正解
用手換気は、バッグを手で押して肺に空気を送る方法で、人工呼吸器が止まったときに使う。機器はまだ動いている。
- 4
「主電源を外部バッテリーに切り替えましょう」正解
内蔵バッテリーには限りがある。外部バッテリーへ切り替えることで、停電が続いても換気を保てる。
📚 国試でよく狙われるところ
在宅の人工呼吸療法は、停電と災害への備えがそのまま問われる。電気・人手・連絡先の3つで備えを整理しよう。
- 電気=外部バッテリーと自家発電機を用意し、充電の残りを日ごろから確かめる
- 人手=用手換気の道具をすぐ手に取れる場所に置き、家族が使えるよう練習しておく
- 連絡先=電力会社にあらかじめ登録し、主治医・訪問看護ステーション・機器の取扱業者の番号を貼っておく
参考: 在宅療養者の停電・災害時の備え(在宅看護論)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について