第104回 看護師国家試験 午前 問101 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。Aさん(90歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病で、重度の認知機能の低下がある。要介護4で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、長男夫婦が自宅で介護している。Aさんは、誤嚥性肺炎のために入退院を繰り返している。今回の入院で主治医はAさんの家族に胃瘻の造設を含めた今後の方針を説明した。Aさんの長男は胃瘻の造設を希望せず、主に介護を行ってきた長男の妻は「私には決められない」と迷っている。 Aさんの長男の妻に対する看護師の対応として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 以前どうしたいと話していたかを尋ね、家族がAさんの意思を推し量れるように支える。
Aさんは重度の認知機能の低下があり、自分では意思を伝えられない。 このとき家族に求められるのは「自分ならどうするか」ではなく、本人ならどう望んだかを推し量ることである。 長男の妻が「決められない」と言うのは、自分が決める役目を負わされたと感じているからでもある。元気だったころのAさんの言葉を一緒に思い出すことで、決めるのは家族ではなく本人の意思だという足場ができる。意思の推定を助けるのが看護師の役割になる。
残る3つでは、判断の軸が本人から離れてしまう。長男の妻自身の立場に置き換えると、それは本人の意思ではない。介護支援専門員は生活を支える立場である。看護師が自分の経験から勧めるのは押しつけになる。
- 1
「あなたがAさんの立場ならどうしますか」不正解
尋ねられた人自身の価値観で答えることになり、Aさんが望んだこととは別のものになる。
- 2
「介護支援専門員の考えを聞いてみましょう」不正解
介護支援専門員は在宅の生活を支える立場で、治療の方針を決める役割は担わない。
- 3
「私の経験から胃瘻を造らないことを勧めます」不正解
看護師個人の経験を勧めるのは価値観の押しつけになる。家族が本人の意思にたどり着けるよう支えるのが役割である。
- 4
「Aさんはこのような状況になったとき、どうしたいと言っていましたか」正解
元気だったころの言葉を手がかりに、本人の意思を推し量る。決めるのは家族ではなくAさん自身だという支えにもなる。
📚 国試でよく狙われるところ
本人が意思を示せないときの決め方は、順番がそのまま問われる。上から順にたどれるようにしよう。
- 本人が書き残した事前指示書などがあれば、まずそれを確認する。
- 無ければ、本人をよく知る家族と医療・ケアチームで話し合い、本人ならどうしたかを推し量る。
- 推し量ることもできないときは、本人にとって何が最善かを話し合って決める。状態が変わるたびに、この話し合いは繰り返す。
- 本人が元気なうちから、本人・家族等・医療者で望みを繰り返し話し合っておくことをアドバンス・ケア・プランニングという。誰に意思を推定してもらうかも前もって決めておく。
参考: 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」/系統看護学講座 老年看護学
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について